「第六章」経営危機に学ぶ

[第六章]バカは経営危機に学ぶ

脱サラ当初の失敗を乗り越え、経営が順調に行っても、常に順風満帆ということはありません。特に今の時代は環境が目まぐるしく変わり、何が起こるかわかりません。

佐賀トップクラスの中古車販売店「カーライフ550」の池田社長は、暴走族出身ながら車のブローカーで成功。しかし、調子に乗って博打や女遊びにのめり込み、気がつくと借金は1億円に。同じ頃に子供も病気で失い、どん底に落ちます。

追い込まれた池田さんは、佐賀のコンサルタントであるタケナカコーポレーションの竹中さんに相談。ランチェスター経営の竹田社長が開発した「地域戦略」と「顧客戦略」を実践し、商品も5~50万円の車種に限定。オイル交換3年間無料等のサービス体制が支持され、低価格中古車で圧倒的な販売店に生まれ変わりました。

「梅の花」の梅野社長は、独立5年でカニ料理の店を5店舗にまで広げました。しかし、6店目のカニバイキング店に失敗。その後もメニューや外装を5回変えましたが、客足は遠のくばかりで窮地に。経済的、精神的にも追い込まれ、霊媒師や超能力が出る?シールにもはまりましたが、当然効果はありません。そんなある日、寺の修行を終えた梅野さんは、寺の入り口に書かれた言葉にハッとします。「人に感謝 物に感謝」。

「チェーン展開の段階で職人抜き=料理の手抜きと考え、客や社員も自分の儲けの手段と勘違いしていた。若くして成功し、創業時から世話になった人への感謝も忘れていた。

まさに生き方の原点に気づいたんです」(梅野社長)。それからは周りの意見も謙虚に聞き、全国の繁盛店を視察。創業10年目に現在の「梅の花」の業態開発に成功しました。

同じ飲食店では、関東で居酒屋の「和民」を展開する一部上場企業・ワタミフードサービスも、やはり創業10年目頃に危機を経験。当初は「つぼ八」の加盟店として大成功し、お好み焼きの宅配店も10数店展開します。しかし、バブル崩壊後にお好み焼きの注文が激減し、新たに出した独自業態の「和民」も大苦戦。運良く、「つぼ八」創業者の石井氏に指導を仰ぎ、マニュアルの改革で窮地を脱しています。

福岡都心部で洋服のリフォームを展開する「スコッツ」の下田社長は、当初、高級紳士服のテーラーで独立。しかし、3店目の出店に失敗し、高利の街金からの借金が6000万円にまで拡大。テーラー店を閉めてリフォーム業に転じ、朝3時から夜中までミシンを踏む生活が5年以上続いたそうです。そして借金は10年で返済。今では「クイックリフォーム」の店名で、関東・横浜地区にもチェーン展開しています。

繁盛する店舗デザインで定評のある「リードクリエーション」。福泉社長は前勤務先の倒産で独立しますが、順調に行っていた7年目に提携先の工務店と仲間割れ。仕事が1/3に激減するどん底の状態が1年間続きました。そして、前述の「カーライフ550」の池田社長と同じく、ランチェスター経営の「顧客戦略」を実践。会った人には必ず葉書を出し、デザインした店の開業記念日には毎年お祝いを届けるようになります。また、独立開業を目指す人向けに「繁盛店の作り方」冊子を配ったり、経営戦略の勉強会も開催。単なる店舗デザインの領域を超え、店の販売促進指導までも手がける存在になっています。

福岡でPADIダイビングスクールではトップの「オーシャン・ビュー」を経営する大堀社長は、独立5年間は毎年順調に売上を伸ばしました。しかし、6年目に営業部門を任せていた優秀な幹部社員が辞め、翌年は前年対比で50%減の大ピンチに。次の人材育成や資金繰りにも苦しみ、夜も眠れずに寝汗をかく日々が2年間続きました。

追い込まれた大堀さんは、京セラ稲盛さんや仏教経営学のM&Uスクール・梅谷先生の元で勉強。熟慮の末に「沖縄ダイビング無料招待」のヒット商品を生み出し、社員の育成にも成功しました。2001年からは顧客も倍増し、売上も2ケタ増に転じています。

まさに逆境は目覚めるチャンス。経営危機は、天が与えてくれる恵みの雨なのです。

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