成功する客層戦略

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第4章

成功する客層の選び方 ~弱者の客層対策~

 

 

◎売る相手を絞る

 

商品と営業エリアが決まったら、その次に考えることは「だれに」売るのか。これが客層対策です。

会社に売る場合と、個人に売る場合とでは営業のやり方がまったく違ってきます。個人に売る場合も、男性に売るのか、女性に売るのかでまったく違います。会社の場合も、相手がメーカーなのか、卸屋さんなのか、大企業なのか、中小企業なのか、いろいろあってそれぞれに手法が違ってくるのです。

個人向け営業と会社向け営業の両方ができる人は滅多にいません。全然違うものですから。だから、客層を広げたい気持ちもわからなくはないですが、それは強者のやり方。弱者のあなたは客層を絞って営業をしなくては成功は難しいのです。

 

ポイント! 弱者は客層を絞ろう。そのほうが絶対にうまくいく!!

 

◎自分の顔と性格に合う客層を選ぶ

 

わたしの場合は法人向けの仕事が合ってたんです。家庭向けの個人は苦手です。わたしは性格が気難しいし愛想が悪い。成績が悪くて小さい頃からバカにされてきたせいか、人に会うのが好きじゃない。だから、同窓会なんかも大嫌い。それに、このアゴが張った人相。こういう顔は、家庭向けの営業や小売店ではダメなんです。女性や子供に嫌われますからね。

削除変更東京の葛飾区に、一坪で1億円を売り上げる超繁盛の総菜店「かねふじ」がありますが、この遠藤社長の体型は、背が高くなくて丸ぽちゃ型。それに性格が明るくてよく笑う。

元々、遠藤社長は繊維機械のエンジニアをやっていたんですが、どうも機械相手は面白くないと転職を決意。スーパーや肉屋さんで修行して総菜屋になったんですが、外見や性格が奥さん向けに合っているのです。まさにオカズの社長ですよ。これが遠藤社長の天職だったんです。

流行っている女性向けの小売店や居酒屋の店長も、家庭向け訪問販売のトップセールスも、そのほとんどは丸ぽちゃ型で小太りで、笑顔がよく似合う人が多いですね。

わたしなんか物理が好きで、発明ものや機械が好き。コンサルの場合も製造業や卸業相手が得意です。大衆向けの飲食業や小売業はじつは、あまりよくわかりません。なぜなら、わたしはファッションや食べものには無頓着。スーツなんか1万円のヤツで十分だし、食べ物も腐ってなければなんでもいい。

あまり経営戦略には関係ないように思えるけれど、自分の好き嫌いや外見、性格というのは意外に大事です。

 

ポイント! 自分のパーソナル・スタイルは絶対に大切にしよう。

 

◎法人向けも、大企業と中小企業では違う

 

法人営業の場合、売り込む会社の規模で営業スタイルが違ってきます。独立したばかりの人から、大企業はなにも買ってくれません。大企業は用心深いし、業歴のない相手は信用しませんからね。

また、大企業には数多くの会社が売り込みをかけています。大企業は信用を重んじますから、取引先も安心できる大企業を選びがちです。それに小さな会社が万が一、大企業と取り引きできても価格競争がひどかったり、様々な要求が出てきてつらくなってしまうことが多いでしょう。

でも、従業員が50人以下の中小企業で相手が初代の創業社長だったら、こちらが独立したばかりでも、熱心にやれば「よしわかった」と取り引きしてくれることもあります。自分も創業期には苦労してるから、独立者の気持ちがわかるんですね。

もし、あなたが一般普及品を取り扱っている場合、まずは営業対象となる業界を小さく細分化してみましょう。すると、なかには市場規模が小さいために、大手が力を入れていない業界が必ずあります。そこに力を集中すると、大手が滅多にこないのですから、小企業でも勝てる可能性があります。

わたしも講演や研修の仕事を受ける場合、100人以下の中小企業に限定しています。たまにわたしの本を読んで、上場企業からも「今度、会社を分社化して別会社にするから、社員研修で戦略の話をシリーズでしてくれ」なんて依頼をいただくこともありますが、相手が大企業の場合はお断りしています。

むかしは大企業の従業員教育もさせていただきましたが、やっぱりどうも、エリートサラリーマン相手の仕事はわたしには合わない。わたしには中小企業の社長が合うんです。

高学歴かつ大企業出身で、気品のあるコンサルタントがいるでしょう。車は外車でスーツもバシッと決めて、横文字を羅列した話し方もスマート。そういう人は大企業に合うんです。でも、わたしには合わない。だれにも自分に合う客層があります。だから疲れることはしないことですね。40過ぎたら、合わんことはせんこと!(九州弁)

 

ポイント! 法人向け営業でもパーソナル・スタイルを大切にしよう。

 

客層戦略成功例①――弁当箱企画販売会社の場合 変更

東京・浅草に「美研」という弁当箱の企画販売会社があります。弁当箱とは、ホカ弁やコンビニ、総菜店などで使われる使い捨ての容器です。単価はわずか10円からと小さな商品ですが、チリも積もれば山となるで年商は約20億円。完全無借金経営で、経常利益もしっかり2ケタという超優良企業です。しかも、これを社員11名、パート・アルバイト20名で運営しています。

独立前の真島社長は証券会社の営業マンでしたが、バブル崩壊の株価暴落で損を出した顧客から「罵声とお茶をかけられて」即、退社。スキーの指導員としてフリーターをしながら、毎日、コンビニ弁当やホカ弁を食べて、次の仕事を模索していました。

ある日、自宅に積み上がった弁当箱の殻を見て、「仕方がない。この弁当箱でも売ってみようか」と決意。箱の仕入先を見つけ、営業にまわったのです。

弁当箱の大口ユーザーは、大手のホカ弁やコンビニチェーンです。こういう店は、1店舗で毎日数百個の弁当を販売しています。しかし、無名で駆け出しの美研は何度通ってもまったく相手にされません。大手スーパーや百貨店の食品売場もあたってみたのですが、どこも大手メーカーや商社がすでにガッチリと食い込み、門前払いされるだけの毎日が続きました。

そこで真島社長は、営業先を町の小さな弁当屋や飲食店・小規模スーパー等に変更しました。すると、どこも大手は営業にきておらず、ライバルは零細な包装資材問屋ばかり。なかにはどこも営業がきてないので、店主自ら弁当箱の買い出しに出向くお店も多かったのです。

こうして美研は顧客を中小零細店のみに絞り、かつ、地域戦略と時間戦略を決行。こまめな配送と売れる弁当箱の独自開発商品も支持され、わずか6年で顧客を約1700社開拓し、業界トップクラスへ成長しました。

飲食店にとっても、飲食店へ卸す業者にとっても、弁当箱は「場末の商品」。手間がかかる中小零細の飲食店は、だれも本気で営業していなかったスキマ業界・客層だったのです。

 

客層戦略成功例②――スーパーの場合

福岡県飯塚市にある「筑前新鮮屋」は売り場面積150坪の小さなスーパー。4000世帯の小さな盆地でのんびりと営業していましたが、突然、近所に激安のスーパーチェーンが進出し、半年で売り上げが20%ダウン。一気に資金繰りが悪化し、倒産寸前まで追い込まれました。あわてて商品の価格を下げましたが、体力では勝ち目はありません。

試行錯誤の末、客層を60歳以上の高齢者にシフト。その地域は過疎が進み、比較的高齢者が多かったのです。そして、むかしながらのご用聞きを復活させました。通常のスーパーがやらない配達をし、意見を聞いて要望があったものは、一品でも注文を受けるようにしたのです。

また、店内にはポットを置いた休憩場所を設置して、ゆったり滞在できるようにしたり、接客はお客との対話を重視させました。いわば「高齢者のデイケアスーパー」を目指したんです。

その他、アンケートを定期的に実施し、手作り豆腐や特製キムチ、焼きたてパン、刺身盛り合わせや仕出し料理など、スーパーにとっては非効率で手間のかかる商品をお客の要望に合わせて次々に提案。こうした取り組みが奏功し、1年で売り上げ130%、利益は2倍に復活しましたね。

このように、強者がすべての客層を対象にするなら、弱者は客層を絞る。自分のお客をだれにするかを具体的に決めると、手の打ち方が見えてきます。

 

客層戦略成功例③――ゼネコンの場合  変更

福岡の「トマト建設」は平成5年創業の小さなゼネコンです。設立以来毎年2ケタ成長を続け、社員11名で年商15億円・経常利益も1億円以上と、大不況が続くゼネコン業界では異色の注目株です。

通常のゼネコンは「家でもビルでも店舗でもなんでもやります」というスタンスですが、「トマト建設」は坪単価20万円以下の木造アパート建設に特化。普通のサラリーマンや自営業者を対象に、アパート一棟を投資用物件として販売しています。

資産運用を考える高額所得者はビルやマンションを好みますが、高額所得者には様々なゼネコンや投資用マンション会社がすでに売り込んでいます。つまり、トマト建設は他のゼネコンが狙う金持ちをはずし、一般庶民の中産階級を客層にして2ケタ成長をつづけているのです。

 

客層戦略成功例④――コンピュータソフト開発会社の場合 変更

カーコンビニ倶楽部は車の板金修理で飛躍的に伸びているFCチェーンですが、本部は「翼システム」というコンピュータソフトの開発会社です。「翼システム」はいまや年商400億円とソフト業界の大手に成長しましたが、この会社は1983年の創業時より営業対象を自動車修理工場に特化してきました。

ソフト開発では銀行や大企業向けが花形ですが、自動車修理工場は零細企業が多く、管理する部品点数や新機種の入れ替えが頻繁で、ソフト開発やメンテナンスに手が掛かる業界です。1件あたりの単価も安く、面倒で、相手は泥臭い町工場のオヤジさん。結果として、大手・中堅のコンピュータ会社はどこも無視してきたため、いまや「翼システム」が自動車修理・部品業界のシステムを独占し、大変な高収益を上げています。

同じコンピュータ業界で高収益を上げている「JDL」は、零細な規模が多い会計事務所向けの財務パソコンに特化しています。福岡で成長著しい「フューチャーリンク」も、個人病院向けのソフト開発に絞って成長をしているのです。

 

客層戦略成功例⑤――旅行代理店の場合

旅行業界では「HIS」が客層を学生や個人海外旅行マニアに特化して成長しましたが、2000年に東証2部に上場した「ニッコウトラベル」は、なんと平均年齢70歳以上の熟年層を専門にした旅行代理店です。通常なら3泊4日のツアーを5泊7日と余裕をもたせたスケジュールにしたり、添乗員の質や健康管理サービスもワンランク上のものを提供。高くてもゆったりとした旅行がしたいという熟年層の支持を得ています。

 

 

客層戦略3大原則

 

原則その① 法人向け営業か個人向け営業か、それだけもで適正は違う。

原則その② 自分がどんな営業に向いているかを見極めよう。

原則その③ 自分にぴったり合った客層に絞って営業しよう。

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  1. 2014 10.08

    Hello world!

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