トラウマ治療最前線 by NHKクローズアップ現代

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これはスゴい。ぜひ番組動画を最後まで見てください。
怪しいスピリチャル系にも存在意義があった!?
以下は2013年12月NHKクローズアップ現代のサイトより。

番組全編の動画


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もっと詳しいロングバージョン(NHK教育)


心の傷~トラウマからの解放 投稿者 JKzappa

心と体を救う トラウマ治療最前線

なかなか症状が改善しない、うつ病や、原因不明の体の痛み。
その治療の鍵を握っていたのは心の傷・“トラウマ”でした。
これまで、戦争や大きな事件・事故に遭遇した時、心にできるとされたトラウマ。
そのトラウマをめぐり、新たな動きが出ています。
今年(2013年)、アメリカの精神医学会が、19年ぶりに診断マニュアルを改訂。
トラウマが、これまで考えられていた以上に幅広く、心の病に関わっているとの見解が示されました。

精神科医
「戦争体験だけでなく、日常生活の中でもトラウマを負い、心の病は発生するのです。」

そして、トラウマそのものの解消を目指す試みも始まりました。
トラウマを根本から治療することで、うつの症状や、さまざまな依存症を改善する可能性があることが分かってきたのです。

患者
「ここまで見事に消化するとは思ってなかった。
おお!終わった?みたいな。」

心の傷・トラウマは、私たちの心と体に何を引き起こすのか。
治療の最前線からの報告です。

原因不明の体の変調 トラウマと深い関わり

原因が分からず、なかなか治らなかった体の痛みや、うつの症状。
トラウマに焦点を当てた治療で、こうした症状から回復する人が相次いでいます。
慢性的な頭痛に悩まされてきた、アスカさんです。
病院を転々とし、さまざまな痛み止めを処方されてきましたが、治りませんでした。
10年前、精神科でうつ病と診断され、今度は、抗うつ薬を使った治療を、5年間にわたり、続けました。
それでも頭痛は治まらず、うつの状態も悪化。
ついには、仕事に行くこともできなくなりました。

アスカさん(仮名)
「たぶん一番、死に近かった時期やね。
ほぼ、『死のう』しか考えてなかった時期ですよ。」




医師の勧めで、アスカさんは、あるクリニックを受診。
担当の臨床心理士が、アスカさんが育った環境について、聞き取りを行いました。
記憶をたどるうちに、子どものころに、過酷な虐待を受けていたことが浮かび上がってきました。

アスカさん(仮名)
「なんか知らんけど、(父親に)包丁突きつけられた…腹に。
すごい怒られて、たたかれて、日常茶飯事だった。」

幼いころ、実の父親から、繰り返し暴力を受けていたアスカさん。
恐怖のあまり、抵抗もできなかった体験が、深いトラウマになっていたのです。

トラウマからの解放 治療の最前線

トラウマを抱えている人は、その体験を思い出した時、感情をつかさどる右脳が興奮状態になる一方、記憶を処理する左脳の活動が低下。
脳の活動がアンバランスになり、心と体に異常を来します。
トラウマによって起きる問題への対処法として、最も広く行われてきたのが“認知行動療法”です。
患者は、つらい体験から、物事を悲観的に捉えがちになっています。
そこで、認知行動療法では、カウンセリングなどを通じて、脳の活動にバランスを取り戻し、トラウマが問題につながらないよう導きます。

今回、このクリニックでは、認知行動療法に加え、“EMDR”という方法で治療にあたりました。





トラウマとなっている、つらい記憶を心に思い浮かべながら、指の動きや機械の光の動きを追い、目を左右交互に動かします。
脳に左右交互の刺激を与えると、右脳の興奮状態や、左脳の機能低下が和らぎます。
そのため、比較的早く、バランスの取れた状態を取り戻し、トラウマを解消できると考えられています。



WHO=世界保健機関も今年、EMDRを、患者の負担が最も少ないトラウマ治療の方法として推奨しました。


EMDRによるトラウマ治療を始めた、アスカさん。
父親による暴力の記憶を一つ一つたどっては、トラウマを取り除くという作業を繰り返していきました。
そして、治療が始まって3か月目。
ついに、最も深刻なトラウマを生み出した出来事に突き当たります。

アスカさん(仮名)
「(猫は)私のこと恨んでないかなぁ…。
助けて、って。」

それは、17歳の時のこと。
かわいがっていた飼い猫を、父親が突然、捨てると言い出した時の記憶でした。
父親の暴力におびえて暮らすアスカさんにとって、猫は、ただ1つ、心を許せる存在でした。
しかし、アスカさんは、父親への恐怖から止めることができませんでした。
心の奥底で、アスカさんは、猫を守れなかった自分を、今なお、責め続けていたのです。

アスカさん(仮名)
「分かってて、止められなかった自分がイヤ。
『責め』っていう感じかな。」

アスカさん(仮名)
「過去が、全然、過去じゃないんです。
むしろ、今と過去がぐちゃぐちゃしてて、今、自分の身にかかっている感じ。」



臨床心理士は、猫を守れなかった自分への否定的な思いが、うつや頭痛につながっていると分析。
自分自身を責めるアスカさんの思考パターンを取り除く作業に取りかかりました。

臨床心理士 市井雅哉さん
「仲の良い友達が、あなたと全く同じ環境で育ったとしましょう。
何て、そのお友達に言いますか?」

アスカさん(仮名)
「『怖いから、抵抗できないの当たり前やし』って言います。
その猫、あなたのこと絶対に恨んでないから…。
何も悪いことしてないやん。」

「自分は悪くない」と思えた瞬間、アスカさんは、長年、苦しんできたトラウマから解放されました。
アスカさんは今、頭痛や、うつの症状も治まっています。

アスカさん(仮名)
「このトラウマって、一生抱えるんやろうなって思っていたので…。
3か月か、4か月じゃないですか。
ここまで見事に消化するとは思ってなかった。
これ、おお!終わった?みたいな。」


治療にあたった臨床心理士は、うつなど、個別の問題症状に対処するだけでなく、その根本にある、過去のトラウマにさかのぼって治療することが重要だといいます。

臨床心理士 市井雅哉さん
「うつを診ているお医者さんの中でも、トラウマを扱えば良くなるかもと思ったら、リファー(専門家につなぐ)をするという形で、EMDRの治療者が果たせる役割が広がればいい。」

トラウマ治療 最前線からの報告
ゲスト杉山登志郎さん(浜松医科大学特任教授)

●トラウマ治療最前線 トラウマ処理とは?

トラウマ処理というのは、最近になって、進んできた治療法なものですから、まだ全部、分かってないところがあるんですね。
ただ、効くことは間違いありませんし、それから、効くということに関してのエビデンスも、だんだん出てきています。
トラウマ記憶というのは、普通の海馬記憶ですね、海馬にためられる記憶とは違うところにたまっているようなんですね。
そして、ふだんは思い出すことができないんですけども、何か、引き金によってバーンと出てくるという、それを処理するわけですよね。
(普通の記憶とは違うところに置かれているというのは、本人が思い出したくないから?)
いや、そうではなくて、思い出そうとしても、思い出せないのがトラウマ記憶ですね。
(ただ、突然出てくる?)
そうです。
(そして、それに苦しめられる?“フラッシュバック”のこと?)
そうです。
突然、子どもが暴れだしたりするのもフラッシュバックですし、それから、親から言われた、「お前は生きていく価値がない」というのが、自分の考えとして浮かんでくるのもフラッシュバックです。
(治療を受けたあとも、本人はトラウマを忘れるわけではない?)
トラウマを忘れるわけではなくて、むしろ、今まで思い出そうと思っても、思い出せなかったものが、きちっと思い出せて、しかも、その思い出したものがバーンとならないという、距離が取れるんですね。
それが、トラウマ処理のやり方です。

●従来の治療法とEMDRの違いは?

従来のトラウマ処理のやり方というのは、認知行動療法の遷延暴露(せんえんばくろ)というやり方です。
これは、トラウマになっている事柄を焦点化して、それを何度も何度も繰り返し言わせたり、聞かせたりするわけですね。
そして、距離を取るわけです。
これですと、まず第一に、すごくつらいんですね。
それから、2番目に、子どもであるとか、発達障害の場合には、焦点化すること自体が非常に難しいことがよくある。
EMDRの場合には、特にそれを焦点化しなくても、漠然と思い浮かべもらうだけで処理ができるというところが、大きなメリットです。
(ことばにはしない?)
しなくて結構です。
(自分のつらかった感情や風景を、思い浮かべる?)
はい、そうです。
(それで、右、左と目を動かす、その動作を何回ぐらい行うのか?)
1回に20から30ぐらい、これをやるんですけれども、眼球運動をしていくうちに、いろんな記憶が浮かんでくるんですね。
今度、浮かんできたものを、またこうやって、それを手がかりに眼球運動していきます。
そうしますと、今まで非常に否定的な考えしか浮かんでこなかったのが、全体像が見えて、先ほどのあの女性のように、「自分のせいではなかった」という正しい認識になっていくわけです。

(EMDRを受けた前と、あとの脳の画像ですが、かなり大きな変化が起きますね)
この赤いところは、トラウマを思い出した時に興奮しているわけですね。
こういう、むだな興奮が、処理のあとに一応、消えてるわけです。
こんな具合に、なぜ効いてるのか、まだはっきり分からないんですが、確実に効果があると。

●EMDR 治療時のフラッシュバック等への対策は?

いちばん最初に、安全な場所のマークをします。
安全な場所っていうのをきちんと作れないと、トラウマというのは、つらいから、ふたをしてるわけで、ふたを開ける時というのは、非常にリスクがあるわけですね。
そのトラウマ処理をしたあと、必ず、もう1回ふたを閉める。
これが安全な場所のマークですね。
これをやってから、処理に入ります。
(自分にとって安心できる場所というのを、心に描けるようにするということ?)
そうです。

●トラウマに苦しんでいる人は多い?

非常に多いですね。
従来、日本では、虐待というのも、そんなに多くないと言われていました。
とんでもないですね。
本当に多くて、そしてトラウマ問題も、特に虐待というのが、次の虐待の連鎖になったり、それから、先ほどの心身症のような形になったり、摂食障害になったり、うつになったりと、さまざまな精神症状として現れてきたり、さらには、非行とか、犯罪につながることもよくあります。

トラウマ治療の課題 子どもをどう救う

宮城県名取市にある、子ども総合センターです。
ここで、東日本大震災の直後から子どもの心のケアにあたってきた、精神科医の本間博彰さんです。
今、被災地の子どもたちの行動に、大きな異変が起きているといいます。



“授業中、落ち着きがなく、暴力を振るう。”
“自分の体を繰り返し傷つける”など、心の傷・トラウマが原因と思われる問題行動が相次いでいるのです。




そのため、被災した小学校に出向き、トラウマを和らげるための集団療法などを行っていますが、追いつきません。
センターで治療を受ける子どもは、震災前に比べ、2倍近くに急増。
今年度は、1,000人を超える見込みです。



子ども総合センター 精神科医 本間博彰さん
「『心身症』の子どもとか、『うつ状態』の子どもとか、不登校、学業の低下も増えてきます。
多彩な問題が出るということ。
そういう問題が、子どもの時代にちゃんとケアされないと、成人期に引き継がれていく。」



アメリカでは、行政と民間団体が一体となって、子どものトラウマ治療に取り組んでいます。
ネブラスカ州にある、子どものトラウマを専門に治療をする施設です。
5年前に設立されました。
不登校や非行、摂食障害などの、さまざまな問題を抱えた子どもが訪れます。

この日、診察を受けに来たのは、父親から虐待を受けていた、13歳の男の子です。
児童相談所に保護され、現在は、里親のもとで暮らしています。
夜になると、悪夢でうなされ、睡眠薬をのまなければ、眠ることができません。
学校を休むことも、しばしばです。

センターは、学校や児童相談所と連携。
こうした問題があるとみられる子どもの紹介を受けます。
虐待を受けて、保護されたすべての子どもには、州の規定で、トラウマ治療が義務づけられています。
費用は全額、州が負担。
無料です。

男の子は、ここでEMDRによる治療を、週に1回、受けています。
子どものうちに治療を施し、将来にわたって、深刻な病や問題行動が出てくることを防ぎます。
アメリカでは、虐待がもたらす医療費や社会福祉費の増加、自殺や犯罪による損失は、年間10兆円を超えるとされています。
トラウマ治療は、社会の損失を減らすことにもつながるのです。


心理療法士 デブラ・ウェッセルマンさん
「子どもたちが治療を受けないまま、大人になると、将来、より多くの医療サービスを必要とするかもしれません。
もしも罪を犯してしまった場合、そのための費用も必要になります。
その子どもたちが福祉制度に頼るようになれば、さらに費用がかかることでしょう。
つまり、これは私たちが抱える、重大な社会問題なのです。」

トラウマ治療の課題 子どもをどう救う

●トラウマ治療 早期発見・早期治療が重視される理由

やはり、子どものうちに治療をするのが、いちばん簡単に治療ができます。
これは先手必勝ですね。
それから、発達障害も、非常にトラウマが絡みやすいんですね。
ですから、発達障害のトラウマというのは、増悪因子になってきます。

●トラウマ治療は社会的損失も減らす

日本でも、和田一郎先生という方が、2012年の虐待のコストの試算をされまして、1兆6,000億円という結果が出ています。
(この社会的コストというのは、治療にかかるコスト?)
虐待をして、その子たちが、例えば、生活保護になれば、そこでコストがかかる。
そして、精神科治療を受ければ、そこでコストがかかる。
それから、例えば、犯罪を犯してしまえば、そこで、またコストがかかる。
そういうものを全部、積算するわけですね。

●EMDR 日本での治療体制は?

まだ非常に遅れてまして、EMDRに限らず、遷延暴露も含めて、トラウマ処理ができる治療者というのは、300人から400人ぐらいではないでしょうか。
(まずは、専門家の育成が急務?)
そういうことになります。
(トラウマ治療を必要とする人は、まず、どうすれば?) 
一応、日本EMDR学会は、治療者リストを出してますので、インターネットで引いていただくのがいいと思うんですが、ただ、まだ日本は、本当にまだ不足しています。
これは、大学の臨床心理士さんの養成コースの中に、トラウマ処理というのを、きちんと入れていかないといけないんですね。
その点がまだ遅れています。

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