リピート客の作り方・顧客維持戦略

第6章

成功するお客の育て方 ~弱者の顧客戦略~

 

 

◎お客とのコミュニケーション能力を高める

 

商売、経営をしていれば必ずお客と接することになります。

電話を受ける、訪問して名刺を渡す、パンフレットを渡す、注文をもらう、商品を発送する、リピート注文を受ける……。

お客と直接会わない通信販売でも、電話やハガキ、FAXや電子メールでやり取りします。

どんな商売でも、必ずお客と直接コミュニケーションするわけです。

あたりまえのことなのですが、お客との接し方をまちがえると、いくら良い商品でも売れません。一度は売れても、対応がマズければリピート注文はもらえません。

効果的に経営を進めるには、お客とのコミュニケーションがうまくいく仕組みをキチンと作る必要があります。これを「顧客戦略」とよびます。

何度でも言いますが、経営には粗利が不可欠で、粗利はお客からお金をもらったときにしか発生しません。つまり、経営とは、少しでも多くのお客をつくり、お客の数を多くしていくことなのです。

でも、どの業界にも多数の競争相手がいます。注文がほしいと思っても、あなたの会社が競争相手よりも商品力や営業力で劣っていたり、対応やサービスが悪かったりしたら注文はもらえません。

いまの時代は多くの業界が成熟期に入っていて、商品力にはあまり差がありません。商品力で突出できない、営業エリアも変えられない、客層も営業方法も他社と大差がなければ、あとは顧客とのコミュニケーションの仕方、サービスで差別化するしかないのです。

 

ポイント! お客とのコミュニケーションがうまくいく仕組みをつくる。

これが「顧客戦略」だ。

 

◎リピーターをしっかりつかめばラクになる

 

お客の新規開拓には時間がかかり、経費もかかります。しかし、リピーターや紹介客は、新規開拓に比べると格段に経費がかからず、この割合が増えていくと経営が安定します。

新しいお客を1件つくるコストを10とすると、継続客をつなぎとめておくのにかかるコストは1~3くらい。また、業歴が15年、20年と長くなればなるほど、売りあげに占める既存客の割合が多くなり、経営は安定してきます。

これに対し、新規に独立したときは固定客ゼロ。一度契約したお客さんを継続取引にしないと、自転車操業が続いてしまい、いつまでたっても経営は安定しませんね。だから、固定客化が必要になるんです。

わたしの会社は、いまの売り上げの約8割が古くからのお客さん。この数年はビジネス教材の制作に専念して新規開拓営業をあまりしていませんが、顧客戦略をキチッと実行すると、既存のお客が助けてくれますね。

たとえば、既存客にDMを出すと、一定量は必ず教材を買ってもらえますね。うまくいくと、わずか2500通のDMで800万円から1000万円の注文があります。小さな会社で、これだけの売り上げを新規のお客から上げようと思ったら、普通はDMも何十万通と出さないと無理でしょう。これではとてもペイしませんね。

新規の顧客開拓も大事ですが、同時にリピーター・固定客をしっかりと作っていくこと。これを独立当初から意識して仕組み作りにしておくと、経営が安定します。釣った魚と嫁さん(夫)には餌はやらないと言いますが、経営も人生も長いですからね。ここはお互い、心して考えていきましょう。

 

ポイント! リピーターの気持ちをつかまえるための仕組みづくりをしよう。

 

◎3ステップで経営安定

 

例えば普通の飲食店の場合、新規顧客100人のうち2度目のリピート来店は約6割、3度目の来店は3割、その後も数年に渡って固定客になるのは1割程度と言われます。つまり、何もしなければ、新規に来たお客のほとんどは流出するんですね。

これは他の業界も似たような傾向です。いくら自分は頑張っていると思っていても、それは単なる思いこみ。どんな業界にも多くの競争相手がいて、あなたのように常に新しい会社や店が市場には参入してきます。とにかく、生き残るには競争に勝たねばならない。

そのためには

 

1 競争相手以上に、お客から好かれ

2 競争相手以上に、お客から気に入られ

3 競争相手以上に、お客から忘れられないようにする

 

以上の3ステップを意識的に実行する必要があります。

商品をどこから買うかは、お客が100%の決定権を持っています。よほどの独占商品か下請け関係でもない限り、「商品はうちから買いなさい。よそから買ったら、タダではすまないぞ」なんてことは言えませんからね。

でも、この「お客から好かれる、気に入られる」なんて、バカに見えるかもしれません。プライドや学歴が高い人は特に嫌いますね。「お客にペコペコして、愛想笑いをするなんてイヤだ」と。

でも、わたしが考える「顧客戦略」とは、お客に媚びることとはちがうのです。お客に感心されて、支持されて注文をもらい、さらに喜ばれてリピートをもらい、お客の紹介ももらうという根本の仕組みづくり。そういう体制を全社的に作り上げること。それが「顧客戦略」です。

実際、あなたがお客の立場に立ち、

 

1 新規に問い合わせや入店したら、応対がとても良かったのでその会社に注文することを決めた。

(競争相手よりも、その会社が好きになった)

2 注文したあとも、その会社の対応が良かったので、継続して注文を出すようになった。

(競争相手よりも、その会社が気に入った)

3 さらにその会社とつき合っていて対応もいいので、他の人にも紹介した。

(競争相手よりも、その会社を忘れられなかった)

 

ということがあるでしょう。

逆に、「もう2度と行かない」「いままで発注していたが、対応が悪いので変えた」とかいう経験も数多くあるはずです。

つまり、顧客戦略の3ステップとは、

 

ステップ1 初めての人に好かれて「お客」にする

ステップ2 「お客」に気に入られて「リピーター」にする

ステップ3 「リピーター」から忘れられず、他の人にも紹介したくなる「ファン」にする

 

と、お客を育てる仕組みといってもよいのです。

 

ポイント! 「お客」→「リピーター」→「ファン」と、お客を育てよう。

 

◎初めての人に好かれて「お客」になってもらうためになにをすればいいか?

 

利益はお客からしか発生しませんから、もともと「経営はお客中心」があたりまえです。どんな会社の経営計画書を見ても、「うちは顧客第一主義です」と判を押したように書いてあります。しかし、実際はなかなかこれが難しいですね。

ある研究者が道を歩いている人に「いま、なにを考えていましたか?」と調査したそうです。その結果、95%の人は自分のことを考えていて、他人のことを考えていた人はわずか5%だったそうです。つまり、人は放っておくと、自己中心に物事を考えるという本性を持って生まれてきているのです。

そして、その欠点は経営のいたるところで出てきてしまい、ひいては経営状況を不安定にしてしまうのです。

そこで顧客戦略のステップ1・好かれて「お客」になってもらうためには、

「お客と直接接するところを総点検」し、

「お客に不便・二度手間をかけているところを改善」することになります。

まずは身近な名刺・封筒、電話・FAXを見てみましょう。

これらは、あまりに身近すぎて見過ごされがちです。「そんなチマチマしたことより、もっとすぐ儲かる方法を」という声が聞こえてきそうですね。

でも、経営は一発勝負ではなく、日々の積み重ねです。いくら画期的な商品を開発したり、チラシを撒いても、毎日接する部分に落ち度があると、好かれてお客にすることはできません。他人の立場になって、考えてみましょう。

以下は主にオフィス・法人向け営業の場合ですが、小売店や飲食店の場合はさらに顧客と直接接する機会が増えます。お客の立場で不便に思うことを書き出し、自社・自店ではどうか、どこをどう改善するか。こういったことを考える日を月に一度は持ちたいものです。

また、ここに取り上げたことだけを実行していれば好かれて「お客」になってくれるというものでもないかもしれません。あくまでも、わたしが提案する一例としてとらえ、ほかにもいろいろと創意工夫を重ねていってみてください。

 

ポイント! ステップ1 好かれて「お客」になってもらうためには、お客の立場になって考えることが大切。まずは、

  • お客と直接接するところを総点検
  • お客に不便・二度手間をかけているところを改善しよう。

 

◎お客から好かれるための名刺・封筒づくり

 

新規のお客と会ったときに、まず渡すのは名刺です。

また、商品を入れるのにも、伝票を入れるのにも、見積もり書を入れるのにも、カタログを入れて送るのにも、封筒を使いますね。

名刺や封筒はお客と直接接するものです。まずは、名刺・封筒から総点検をし、改善していきましょう。

 

<好かれる名刺のコツ①――電話・FAX番号は大きな文字で>

お手元にある、他人からもらった名刺を見てください。社名や名前は大きな字ですが、電話やFAXの番号が小さな文字で書かれている名刺が多くありませんか?

小さな文字では、中高年、特に50歳を過ぎた人は虫眼鏡でも使わないと読めませんね。中小企業向けの商売で決裁権を持っているのは、たいがいが社長です。社長の 平均年齢は50代より高くなっていることをご存知ですか?

家庭向けの商売でも同じです。おカネをしっかり握っているのは中高年やシルバー層です。

だから、名刺の字は大きくする必要があります。小さい字だと、見るだけで頭が痛くなります。

これは名刺をデザインするデザイナーが悪い。多くのデザイナーは字を読ませるというより、見た目が格好いいデザインを優先したがります。発注側も、自分の電話やFAX番号はソラで覚えているから、番号の字をじっと見つめることはありません。だから、ついつい、デザイン優先でそのまま印刷してしまう。

名刺は相手に渡したら相手のモノ。かつ、名刺はお客が保管しやすい数少ないツールです。デザインよりも、もらった相手がちゃんと読めるかどうかが大事です。

 

<好かれる名刺のコツ②――法人の種類は社名のあとに>

「株式会社山田商会」と「山田商会株式会社」。

どちらが覚えやすいですか? 人は文字の最初から覚えるので、株式会社や有限会社など、法人の種類はあとまわしにして、社名を最初に持ってきましょう。

 

<好かれる名刺のコツ③――社名とキャッチフレーズを混同しない>

名刺は社名で管理する人が多いですね。ですから、社名がはっきりわかるように作りましょう。あたりまえのことですが、なかには社内キャンペーン用のキャッチフレーズなどが社名と見まちがえるほど強調された名刺もありますね。派手なロゴマークも考えものです。

 

<好かれる名刺のコツ④――住所だけでは場所がわからない>

来社・来店してもらう業種の場合、地図または「親不孝通り・コンビニ隣の茶色のビル」とか「地下鉄天神駅・OO出口より徒歩3分」と書かれていると、もらった方はわかりやすいですね。住所だけでは不足です。

 

<好かれる名刺のコツ⑤――顔写真を入れる>

普通、人は3度会わないと顔と名前が一致しません。また、顔がわからない人には発注しにくいものですね。商売は顔を売ること。ならば、堂々と顔写真、またはイラストでPRしましょう。

 

<好かれる名刺のコツ⑥――名刺の裏も使いましょう>

名刺はお客が保管しやすい「ミニカタログ」です。しかし、大半の名刺は社名と名前と連絡先だけ。しかも、最近の社名はわけのわからないカタカナが多いですね。タダでさえ無名なのに、なんの会社かわからないのでは渡しても意味がありません。事業内容や商品名、用途を遠慮なく書きましょう。表が一杯なら、裏を使えばいいのです。場合によっては、個人の自己紹介を入れると話題にも困りませんね。

 

<好かれる封筒のコツ――封筒もミニカタログにしよう>

封筒もお客と接する度合いが多いツールです。封筒の電話番号等も名刺と同じく大きくしましょう。デザイン的なカッコよさは、それを売りにしている場合以外は2の次です。

2~3行のメッセージ欄を作りましょう。そこに、手書きの一言を入れると、DMを出したときの開封率も高くなります。

封筒は名刺同様ミニカタログだと考えてください。封筒の裏は通常白紙ですが、いやらしくない程度に自社製品の紹介を入れたり、お客に役立つデータを印刷するのも一つの手段なのです。

 

◎お客から好かれる電話・FAX対応のコツ

 

電話もお客と接する度合いが高いですね。電話は気軽な手段ですが、お互い姿が見えません。ですから、じつは電話応対には直接面談以上に高度なスキルが必要なんです。甘く見ると、一発で信用を失うので、注意して対応したいものですね。

また、法人向け営業や通販など、業種によってはFAXで仕事のやりとりや注文を受けることもあるでしょう。FAXは人が出ませんから見過ごしがちですが、送る方に不便をかけないよう、細かな設定が大事です。

 

<好かれる電話対応のコツ①――話中をなくす>

独立したばかりで一人の場合、電話回線は一本で十分かもしれません。ですが、かけた相手は話中だと2度手間になりますね。会社の電話で無駄話はしないこと。また、常時2人以上いる場合、電話回線は2つ引きたいものです。これが難しい場合は、キャッチホンを利用し「すぐ折り返し電話します」と伝えましょう。

 

<好かれる電話対応のコツ②――新人に電話は取らせない>

独立したての小さな会社の場合、かかってくる電話の90%は社長あてです。スタッフにいったん取らせて取り次ぐのは、相手にとってはとても不便。カッコつけず、躊躇せずに電話は社長が率先して取りましょう。新人にあえて取らせて「電話応対の練習」はもってのほかです。

 

<好かれる電話対応のコツ③――用件をいちいち聞かない>

会社には様々な「売り込み・営業電話」もかかってきます。それを防ごうと「名前は?」「会社名は?」「用件は?」と、電話をかけてきた人を「取り調べ」することがよくあります。これを古くからの客に対しても行うと、「この会社は自分を知らないのか?」と不満が募ります。基本的には「取り調べ」をせずに、社長や担当者にまわしましょう。「売り込み・営業電話」の業者も立場を変えればお客。「うるさい!」と罵倒するのでなく、「いまは必要ないです」と丁寧な応対ができるくらいになるといいですね。

 

<好かれるFAX対応のコツ①――専用線を引く>

FAXはビジネスの必需品。電話とFAXの兼用は相手が送りにくいものです。ぜひ、専用線を引くようにしましょう。

 

<好かれるFAX対応のコツ②――複数回線引く>

FAXの使用が多い会社は、話中を避けるために2回線引きましょう。

 

<好かれるFAX対応のコツ③――よび出し音は短く>

よび出し音は0~1回に設定しましょう。5回もよび出させて「ただいま留守にしております。FAXの方は・・・ピー」は最低です。

 

<好かれるFAX対応のコツ④――メンテナンスはしっかりと>

FAXのゴミやインクによるスジは見苦しいものです。定期的にFAXをクリーニングしましょう。また、紙切れ、インク切れもいつも注意していつでも受信できるようにすることも大事です。

 

顧客戦略成功例①――建設業者の場合

福岡の「大慶ビルド」は水まわりの工事をやっている従業員10数人ほどの零細企業ですが、以前の売り上げはほぼ100%が官公庁やゼネコンからの下請けでした。そのため、バブル崩壊に加え、公共工事の発注量も激減し、さらに2300万円もの焦げ付きで窮地に追い込まれたことも。

大慶ビルドに限らず、下請けの工事会社には顧客対応という概念がありません。職人気質の会社が多く、電話やfaxの対応もいい加減な会社がほとんどです。

しかし、このままでは会社が潰れる。いろいろ考えたあげく、まず実行に移したのは工事終了後の「入金お礼FAX」でした。

すると、「こんなものは受け取ったことがない」と取引先から驚きと感謝の電話が殺到。これはイケルと、見積もり依頼時、契約時、工事終了時と、ことあるごとにハガキやFAXを出すようにしました。

雑多な工事業者で、ここまで「感謝を態度で示す」会社はありません。会社の信用度も上がり、リピーターや紹介客も大幅に増えたのです。

また、下請けだけでは限界があると、一般家庭を対象に水まわりの修理やリフォーム工事を開始したのですが、個人客にも注文時や入金時に「お礼のハガキ」を実行しています。やはりお客から驚きや感謝の電話が次々にかかり、この直販事業も一気に軌道に乗ったのです。

全体の年商も下請け時代に比べて安定成長。現在はお礼のFAXやハガキを約20種類用意し、毎日平均して10枚、年間では約3000枚をだしています。

もし、なにもやってなかったら、いま頃売り上げは2~3割は減っていたでしょう。幸い、同社は優秀なスタッフが多く、お礼のハガキやFAXは専任の女性に任せているそうです。なんとか継続できているのは、社内の仕組みを作ったからだ、従業員とお客様に感謝していますと同社大熊社長は言っています。

 

顧客戦略成功例②――住宅リフォーム会社の場合

前章にも紹介した「ホームテック」では、「お礼ハガキ」を100%実行しています。

営業マンは契約後、本社に見積書・契約書・原価計算書・顧客データを提出しますが、このときに契約後に出す「お礼ハガキ」のコピーを必須事項と規定しています。つまり、お客に「お礼ハガキ」を出さないと、社内的に契約が成立しないシステムにしているのです。

社員はみな、漢字も知らないし、字も下手クソ。それでも出す。とにかく、下手でもなんでも、仕事をもらったら「ありがとうございます」と意思表示する。これはビジネスマンとしてあたりまえのことです。だから、お礼ハガキを出さない社員はクビなのだそうです。

多少、強引なやり方ですが、ここまで規定すると営業マンは必ず書くようになります。

ホームテックの1回の平均受注額は約100万円。一般家庭にしては高額商品になるため、「やっぱり考え直す」というキャンセルもあります。ところが、「お礼ハガキ」を出すと、キャンセルの比率が大幅に減るという副次効果もしっかりあるのだそうです。

 

◎「お客」に気に入られて「リピーター」にするためにはどうしたらいいか?

 

以上は、好かれて「お客」になってもらうために、まずは簡単にできることの紹介でした。

では次に、好かれて「お客」になってくれた人に気に入られて「リピーター」になってもらうためにできる、簡単なことを紹介しましょう。

ところで、わたしは45歳のときに独立して経営コンサルタントの仕事を始めたのですが、独立すると飛ぶようにお金が無くなっていきました。これはサラリーマンのときは気づかないことでした。事務所のコピー機等の備品や印刷物など、1万や2万の支払いはまだしも、10万円や20万円の支払いはつらいものです。

しかし、あるとき、思いました。このお金はわたしがサラリーマン時代に苦労して貯めた金だが、サッと銀行振り込みしても「お礼のハガキ」が一通も来ない。そこで、普通の会社はどれぐらい「お礼のハガキ」を出しているのだろうと、お礼状の実態調査をしてみました。

その結果は……。

 

<お礼状の実態調査>

・背広やコートを買ったとき、お礼状をもらったことは?・・・3%

・3万円以上の家電品を買ってお礼状をもらったことは?・・・3%

・3万円以上の家具を買ったあと・・・・・・・・・・・・・・・5%

・個人の自家用車を買ったあと・・・・・・・・・・・・・・・・6%

・自動車の整備をしたあと・・・・・・・・・・・・・・・・・・2%

・損害保険に加入したあと・・・・・・・・・・・・・・・・・・3%

・生命保険に加入したあと・・・・・・・・・・・・・・・・・・8%

・家を新築したあと、工務店から年賀状は?・・・・・・・・・・7%

・得意先を4万円以上の接待したあと・・・・・・・・・・・・・0%

・集金に来ている営業マンから・・・・・・・・・・・・・・・0%

・銀行送金したあと・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・0%

・会社に来ている営業マンから・・・・・・・・・・・・・・・2%

・得意先にお土産を持っていったあと・・・・・・・・・・・・・2%

・faxで注文したとき、お礼の電話かfaxは?・・・・・・5%

 

お礼状を出している会社は平均すると3%、97%は商品を買ってもらったり、送金してもらっても知らん顔をしているわけです。

 

ポイント! 入金・買い物に対する「お礼」を形として示している会社はたったの3%。これで「お客」に気に入られることはできるのか?

 

◎気に入られるために考えるべきこと

 

せっかく「お客」になってくれた人に、さらに気に入ってもらうためには、どんなことをすればいいでしょうか?

わたしは長年の会社経営経験、企業調査会社で数多の会社を見てきた経験から、「お客が思っている以上の、プラスアルファのサービスを実行する」ことが一番の近道だと考えています。それには、自分の都合や面倒くささをぐっとおさえ、親切で報いを求めない行動が必要になります。

少々話しがそれますが、相手が良くなることを本心から願い、自分の精神力や思いのすべてを相手に捧げた状態を「祈り」と呼びます。

真の宗教家のなかには、重病人と出会ったときに、自分の身はどうなってもいいからこの人を助けてくださいと、持てる精神力のすべてを集中して神に祈る人がいます。すると、その様子に心を打たれ、精神のバランスをとりもどして奇跡的に病気が良くなる人もいますね。

しかし、祈りの状態になるのはとても難しく、普通の人はとてもできません。

この状態に近いのが「感謝」です。感謝とは「感じたことを、言葉で射る」と書きます。つまり、感じたことをありのままにパッと伝えるのが感謝なんです。

ですから、感じても言葉や態度に表さなかったら、それは感謝ではありません。有り難いと思ったら、口や言葉や文章で相手に伝える行動が必要です。

雨のなか、来社や来店してもらったら、「わざわざ雨のなかを有り難うございます」と素直に言葉に出してお客様に伝えること。同じく、注文が入ったら、お礼の電話かFAXをすぐに入れて、喜びを素直に伝えること。

支払日よりも前に銀行入金があったら、すぐにお礼のハガキかFAXを出し、喜びを素直に伝えること。こうするだけでも、お客はきっとあなたの会社を気に入ってくれます。これを実行するだけでも、お客が思っている以上のなにかになるのです。

新人研修などでは必ず「報連相」の話が出てきます。「部下は上司に報告・連絡・相談をキチンとせよ」とね。でも、何度も言うように、利益はお客からしか生まれません。社内の無駄な会議や報告よりも、「お客への報連相」が最優先だと思うのです。

 

ポイント! お客に対して「感謝」をしよう。

それだけでもお客はあなたの会社をきっと気に入ってくれるはずだ。

なぜなら競争相手は感謝をしていないから。

 

◎だれでもできるハガキで感謝

 

前述したように、わたしは学校時代の成績が最低でした。それも国語が大の苦手で、字が下手で漢字も知らない。だから、社会人になってもハガキや手紙はほとんど書きませんでした。

転機は企業調査会社時代。ベドガーの再度訪問式営業で訪問件数を増やし、さらにランチェスターの地域戦略と自転車営業で、入社3年目には九州一となりました。その時点で、売り上げは平均社員の5倍になっていましたが、困った事態に追い込まれていました。お客さんの数が増え、通常の営業活動では物理的な限界に達していたのです。もう、これ以上、訪問件数を上げることは不可能でした。

ただ、成績最低と人生で虐げられていた反動か、ここまで来たら日本一を目指したい。なんとかいま以上に売り上げを伸ばす方法がないかと考えたのです。

その結果、実行したのが「ハガキ」でした。

<気に入られるハガキ作戦①――「入金お礼」>

仕事をして、代金を振り込んでもらうのは当然ですね。お客も払うのは当然だと思っています。しかし、すべての経営はお客のお金をもらって初めて成り立ちます。小売業や飲食業はレジで払ってもらって「有り難うございます」ですが、法人取引の場合はいまは銀行振り込みが大半。

入金していただいたら、お礼のハガキまたはFAXでもいいのです。それだけでもお客の対応は変わってきます。

 

<気に入られるハガキ作戦②――その都度ハガキ>

営業で訪問して注文をもらったり、なにか世話になったら、「その都度ハガキ」を出しましょう。わたしは、見込みがない訪問先は省いたので、ハガキを出す率は全訪問企業の3割くらいでしたが、もの凄い効果がありました。

1件訪問するのには、面会時間に加えて移動時間も含めると、平均して30分から1時間はかかります。でも、ハガキは慣れたら1枚あたり1分から5分でササッと書け、もう一度訪問したような効果があります。むかしもいまも、ハガキを出す営業マンはほとんどいませんからね。わたしは、こういう「その都度ハガキ」を毎日5枚前後出すようにしました。

 

<気に入られるハガキ作戦③――定期メール>

滅多に訪問しない小口のお客さんや遠方のお客を含め、年に4回の「定期メール」を顧客企業に送りましょう。わたしは、営業マン時代に約500通、発送していました。

どういうハガキかというと、裏面に経営に役立つデータや資料を印刷し、相手の住所を書く表面に2~3行の挨拶を手書きするものです。

ハガキは時間外でも書けるし、移動時間もかからない。配達当日に相手が不在でもコミュニケーションが保てます。かつ、単なる売り込みのDMではなく、お礼や相手の役に立つ内容の「定期メール」は、まず捨てられることはありません。むしろ、「いやー、丁寧にハガキをありがとう」「役に立つ資料をありがとう」と、お客の評判は上々でした。

こうしてハガキを出し始めて2年後、売り上げは平均社員の7・7倍と日本一になり、サラリーマンながら年収も高額所得者番付にも載るまでになりました。

 

<気に入られるハガキ作戦④――徹底させる>

「ハガキを出せ」と言っても、現実に実行して継続するのは大変ですね。ましてや、全社的に末端まで徹底させるのは難しい。だからこそ、ハガキやFAXを出す意味があるんですが、やるからには徹底して継続しましょう。

徹底して継続させるために、簡単なハガキフォームを作ってしまえばいいのです。

わたしが使っていたフォームを掲載しますので、これをご参考に、あなたのオリジナルフォームをつくってみてはいかがでしょうか?

 

<気に入られるハガキ作戦⑤――意味を忘れない>

ハガキを出すのは、「感謝を態度で示すため」です。「感謝を態度で示す」人は、むかしもいまもこれからも、恐らく3%程度しかいません。逆に言うと、実行すればすぐに顧客対応では同業者100社中3番以内に入ることができますから、これを継続すれば必ずお客の評判と支持は上がり、業績は伸びます。

「念ずれば花開く」という言葉を気に入っている人は多いですね。でも、念じただけでは花は開きません。まず、念じて確信を持ち、次に「行動」を起こし、さらに「考えたことをお客に伝えたり、熱心に頼んで」初めて花は開きます。

感謝=「感じたことを言葉で射る」。ハガキやFAXは経費もそれほどかからず、かつ、感謝の物的証拠として残ります。最近はeメールという手段もありますが、インターネットが普及すればするほど、アナログは貴重。できれば手書きで感謝を示したいものです。

 

◎「リピーター」から忘れられず、他の人にも紹介したくなる「ファン」にするにはなにをすればいいか?

 

「感謝を態度で示す」ハガキやFAXに加え、大事なことは「一度、商品をお買いあげいただいたお客を忘れてはならない。同時に、お客様からも忘れられてはならない」こと。そして他の人にも紹介したいと思ってもらわなくてはなりません。

ベストな方法は社長や営業員が定期的に既存客を訪問挨拶することですが、業種によっては訪問コストがかかり、すべてのお客をまわるわけにはいかないですね。

また、ハガキやFAXも、毎回の手書きでは物理的に限界があります。

そこで有効なのは、わたしが以前出していたような「定期メール」や「ニュースレター」の発行です。

 

<忘れられないニュースレター作戦①――質より量>

「定期メール」や「ニュースレター」のコツは、「金をかけずに社内で手作りし、内容に構わずとにかく出すこと」です。きれいな印刷でなく、手書きやワープロで、コピーやプリンターでOK。目的は「お客様に忘れられない」ことですから。

 

<忘れられないニュースレター作戦②――お客に役立つこと>

どの業界でも、一定の人的・物的サービスがされていて、お客も常識として認識しています。この常識をうち破り、その上を行くサービスを、どこよりも熱心に実行すると、お客は予期しないサービスに一瞬驚き、そのあとで喜びます。

これが何回か続くとお客はとても気に入ってくれ、やがて、そのなかの何割かがファンや信者となり、口コミや紹介で「言いふらす」ようになります。

一般に、営業や商売というと、口からでまかせにウソ八百を並べて、ありもしないことをうまく言いくるめて売るイメージがあります。でも、それはまったくの間違いですよ。

ほんとうの営業とは、相手の困っていることや必要とする情報を察知し、自社の商品やサービスで解決すること。そして、その対価としてお金をいただくのが経営です。

さらに、あまりお金をかけない範囲で、お客のためになることや役立つことがあれば、目先の損得抜きにすぐに実行に移す。すると、お客は喜び、感謝もされますから、ますます仕事も楽しくなり、さらにお客の役に立つサービスが自然にできるようになります。

このように「顧客戦略」を極めると、報いを求めない親切心と行動力が身に着きます。それは最終的には自分の人間性を高め、あなたの人格を磨くことにもつながります。

 

顧客戦略成功例③――不動産業の場合

「福一不動産」では、店に寄って契約したお客には、連続して5回、ハガキを出しています。①来店していただいたら、その日中に ②契約時に ③入金があったら ④入居したら ⑤入居1カ月経ったら。その後も、年に4回はフォローのハガキを出しています。

また、社内の人事評価に「お客との接触ポイント」を導入しています。直接お客に会う行為を1点とし、電話やFAX・ハガキは0・5点と換算。新入社員でも、お客との接触ポイントが増えれば、自然と売り上げも増える仕組みをつくっています。

月4回のチラシのうち、1回は地域新聞を発行。B4一枚のワープロ印刷ですが、地域のお店や各種イベント情報を載せているためファンも急増。街を歩くと「見てるよ」と声をかけられるそうです。

ほかにも、メイン客の中洲歓楽街のスナックやクラブのママに向けて、販売促進の経営コンサルタントや飲食店プロデューサー・繁盛店の店主を講師として招き、年4回大きなセミナーを開催しています。

さらに、自らが実践して成功した「ハガキ戦略のマニュアルとハガキセット」も配布。ビジネステープを活用した「経営勉強会」をマンツーマン・少人数で実施しています。

街の不動産屋でお店の経営指導までやるところはないでしょう。ママさん達は大喜びで「中洲でお店をやるなら福一。あそことつき合うと店が繁盛する」という噂は口コミで急速に広まり、わずか3年で中洲地区のシェア約3割を獲得し、年商も3年で3倍となったのです。

 

顧客戦略成功例④――飲食店の場合

博多を代表する人気ラーメン店「博多一風堂」には、1店で1日約1000人が来店します。もちろん、その傑出した味が受けているわけですが、じつはその接客も独特です。

河原社長が創業以来、徹底しているのは、最低1日3人の新規顧客の顔を覚えること。そして、覚えた客が来店したら、「わたしはあなたを知っていますよ」と目で挨拶しながら「いらっしゃいませ」と言うこと。これを続ければ1年で1000人、3年では3000人の顔見知り客ができることになります。

ちょっとしたことですが、このお客の顔を見ながら挨拶するのと、機械的に挨拶するのとでは大違いです。お客さんは敏感です。だから、真剣勝負。味やブームでお客を忘れたらおしまいだと河原社長は言っています。

 

顧客戦略成功例⑤――経営コンサルタントの場合

ここで、わたしが長年から実行していることで、効果のあった事例をいくつか紹介します。一つは「お客の役に立ちそうな情報を送る」こと。普段、読んでいる新聞や雑誌で、お客の役に立ちそうな記事があれば切り抜き、コピーして「ご覧だとは思いますが、念のために」と一言書いてFAX、または郵送するのです。

相手が中小企業の社長の場合、忙しくて、意外に著名な新聞や雑誌にも目を通していないことがよくあります。また、すでに見ていたとしても、「ここまで自分のことを気にかけてくれているのか」と感心されます。

また、わたしの方では各業界と主要会社の「従業員一人あたりの純利益表」などを作り、「定期メール」で送りますが、経営分析の資料になると喜ばれますね。これはA4サイズ1枚で印刷費は1枚あたり3円くらい。単なるデータだと思われるかもしれませんが、数百社のデータを集めて計算するのに、慣れてない人だと2週間もかかります。わたしはこれを35歳の頃から作ってますから、いまでは数字を計算し直すだけですが、手作りの資料で喜ばれますね。

他には、お客が関心を持っているテーマの本や講演教材、テレビ番組があれば、それを録画ダビングして送る。また、得意先の会社や社長が新聞や雑誌に紹介されたとき、「記事を見ました。素晴らしい内容でしたね」とすぐにFAXやハガキを出す。

お客の記事量が多く、保存しておく価値がある場合は「記事を印刷して贈呈」したり、新聞のバックナンバーを大量に購入して送ります。取材記事は最高の宣伝材料で、客先の営業活動資料として使えますからね。これは多少の手間ヒマと費用がかかりますが、上得意客にはお勧めです。お客は100%喜び、役に立つと感謝されますね。

以上のような「お客にとって役に立ち、予期せぬサービス」を続けると、お客はとても喜び、その行動は信頼に発展します。信頼されると、お客の会社のなかで「需要」が発生したとき、真っ先に問い合わせや発注を受けます。

 

◎「うらみ」と「のろい」と「タタリ」の経営

 

「初心7年」と言われるとおり、独立して7年も経つと初心の素直さや原点の心をすっかり忘れ、自己中心になる社長が増えます。さらに「横着15年」と言われるとおり、15年も経つと自分に直言する人がいなくなるため、経営が横柄になってきます。

すると、お客から注文をもらっても「当然」という顔をして、感謝を態度で表さなくなります。さらに、得意先から見ると大事な商品であっても、納期もサービスもいい加減になります。でも、自社の商品だけはどんどん買ってもらいたいという、厚かましい考えを持つようになります。これを「自己中心の経営」とよびます。

こうなると、お客は嫌気がさして他社に注文を出すようになります。ところが自己中心の主観経営をしている人は、自分の行いの悪さを棚に上げ、「いままでうちの会社が面倒を見ていたのに、よその会社から買うなんてケシカラン」と、お客の悪口を言うようになります。これを「うらみの経営」とか「のろいの経営」とよびます。

お客の悪口を言うようになると、これが態度に出るのでお客の評判は一層悪くなり、そのうちにお客が少なくなって、経営が危なくなります。これが「タタリ」です。

業績が悪いのは「景気が悪い」「政府が悪い」「場所が悪い」とか言いますが、じつは業績不振の大半は、このタイプの会社が多いんです。常に、自分の会社をお客から見たらどうなのか、チェックを怠らないようにしましょう。

とにかく、顧客戦略で大切なことはお客が思っている以上のなにかをすることなのです。お客の悪口を言うなど、もってのほかです。

 

 

顧客戦略4大原則

 

原則その① 顧客戦略は経営安定化のために欠かせない

原則その② 顧客戦略の基本は3ステップ(感謝は態度で示せ)

ステップ1 好かれて「お客」になってもらう

ステップ2 「お客」から気に入られて「リピーター」になってもらう

ステップ3 「リピーター」から忘れられず「ファン」になってもらう

原則その③ これらすべてに共通するキーワードは「お客が思っている以上のなにか」をすること

原則その④ 慢心してはいけない

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