「ウツは儲かる」製薬業界と医者のキャンペーンが大成功。士業や税金も投入。

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「ウツは儲かる。薬漬け。笑いが止まらない」と、10年前にセミナー会議室が横の人が。日本精神?心療内科?学会とかいう名称だった。心理カウンセラーコーチングも同類。今回、ウツが障害者認定で障害年金に莫大な税金が投入。発達障害も。巨大市場の誕生。他にも酒やタバコやギャンブルも。
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■うつ患者が急増したのは、製薬会社のキャンペーンがきっかけだった!「うつは心の風邪」というキャッチコピーが広く知れ渡ると、「自分はうつではないか」という患者が病院に押し寄せた。その後も、新たな薬が発売されると、うつ患者が急増する現象が世界中で起こっている。キャンペーンによって受診の抵抗が減り、救われた人もいるが、軽症の患者にまで安易に薬が処方されてはいないか?本誌では製薬会社のキャンペーンによるうつ急増のからくりや、薬に頼らないうつの治し方、うつから生還した元日本テレビキャスターインタビューなども。
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■新たな抗うつ薬、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が日本に持ち込まれたのは、わずか15年前。その影響は甚大で、この薬は日本の文化を一変させた。かつては珍しい病気だったうつ病が、ありふれた病気になった。

 それまで、悲しみや憂鬱な気持ちを感じることは至って普通のことと考えられ、時と場合によっては尊い感情とすら見なされた。ところが、今や治療が必要な病気と診断されるようになり、その一方で製薬会社は巨万の富を築いている。

世界中のあらゆる文化はグローバル化の波にさらされている。そして日本文化に訪れた、うつをめぐる根本的な変化はたまたま起こったものでは決してない。日本人特有の憂鬱や悲しみといった感情に対する見方を変えてしまおうという試み、いわゆる疾患啓発キャンペーンは、巨大資本を有する製薬会社によって綿密に計画され、そして実行された。

高齢者ほどリスクが高くなる高血圧などの病気と違い、うつの場合は、各年代でほぼ同じ分布を描く。どの年齢層でも、ある程度は自然な回復力が働いているためだ。こうした病気は、医者に行かずにほうっておいても、時の経過とともに回復する可能性が高い。
にもかかわらず、患者数が急増したのは、啓発活動をきっかけに「軽症でも病院にいかなければならない」との意識が高まり、「元気」と「うつ」の境界線が「元気」の方向にシフトしたためだ。「正常と異常の境目付近には、つねに巨大なマーケットが潜在している」(井原教授)。

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■「週刊東洋経済」(東洋経済新報社/1月18日号)は『うつの正体』という特集を組んでいる。「あなたの会社では何人がうつで休んでいるだろうか。公務員の統計では国家公務員の1%強、地方公務員の1%弱が、主にうつが原因のメンタル休職者だ。民間企業でもこれが目安となる。うつ休職者が、公務員並みの1%くらいに抑えられていれば、その企業の人事部は優秀だと見なされる。『IT企業なら3%台で上出来』というのが人事関係者の認識である。1カ月に100時間も200時間も残業するSE(システムエンジニア)でうつの発症が多いからだ」「一方で、製薬会社の啓発キャンペーンやメンタルクリニックの急増が、うつっぽい社員をうつ休職に向かわせている側面もある。会社を悩ませ、社員の人生を狂わせかねない、うつの正体を追う」という内容だ。

ここにきてのうつ特集の背景には、うつの原因のひとつとされるストレスをチェックすることが法律で義務化される方向にあるからだ。国は1月下旬からの通常国会で労働安全衛生法を改正し、すべての事業者と従業

員に対し、2015年度にもストレスチェックを義務付ける方針だ。

また、18年度には、昨年6月に成立した改正障害者雇用促進法により、一定規模以上の企業では、身体、知的、精神の通常3障害者を2%以上雇用しなくてはいけなくなる。この中には、医師の診断をもとにした精神障害者保健福祉手帳3級(2年更新)が取得できるうつ病も含まれるのだ。

●誰もが簡単にうつと診断される可能性がある

特集記事PART1『うつになる』では、米国精神医学会が作成した診断マニュアル「DSM」が診療を効率化させたが、「単なる気分の落ち込み」といった、うつでない人までうつと診断される弊害が指摘されているという。さらに最新の「DSM-5」では「肉親が亡くなって2週間ぐらい、くよくよと泣いて仕事が手につかない」といった状態でも、うつ病と診断される可能性があるようだ。

特集記事PART2『うつを治す』では、重症のうつであれば、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)などの抗うつ剤を飲む従来型の治療となるが、ただし副作用もあると警告する。軽症であれば、薬は効かないので不要な場合もある。また米国では副作用のない磁気刺激を脳に与えて治す新型療法・経頭蓋磁気刺激法(TMS)もあるが、保険適用外のため、日本では合計で180万円程度はかかるという。

特集記事PART3『職場に戻る』では、うつは再発しやすく、うつ休職者は復職と再休職を繰り返しがちだとして、各企業の対策を紹介している。日産自動車は社会復帰をサポートするリワーク施設を、ホンダも専門組織をつくり、全社で統一的なメンタルヘルス対策を行っている。

また、国内最大規模のIT企業、社員の休職率が1.2%に上るNTTデータは長期間にわたり負荷がかかる職場のため、常勤の産業医4人などといった他社にない陣容でメンタルヘルス対策に臨んでいる。うつ病は短期間ではなく長期にわたるストレス蓄積で症状が表れる。NTTデータが分析したところ、入社3年目からの発病者が多かったため、3年目を迎える全社員を健康推進室が面接・フォローする仕組みにして、不調者の増加を抑制することに成功している。

なお、うつと異なるものに、自閉症や注意欠陥・多動性障害などの発達障害がある。うつかと思いきや発達障害といったケースもあり、一般的に発達障害は2~5%の比率で社内にいるとされている。社内の無理解から、発達障害が要因になってうつになる場合もあるという。

若干複雑な心境になるのは、人材派遣大手・アイエスエフネットの取り組みだ。同社本社のスタッフは約3分の1が障害を抱えており、社員は首に掛けるストラップで自らの病名を周囲にわかるようにしたことにより、「色分けしたら、社内でのトラブルが減った」という。たいていの職場では、コミュニケーション不足がトラブルの原因となるが、この職場では対人関係がうまくいかないことが前提となっており、その症状を周囲が初めからわかっているために、配慮が働き、トラブルが予防されるというわけだ。

また同社では、「なかなか職を得られない精神障害者ならば、離職率が低く、与えられた業務を一生懸命こなす」傾向があるので、精神障害者を雇うという。弱みにつけ込んだ感がなくはないが、うつにして辞職に追い込むブラック企業とは対極に位置しており、「社員は家族同様なので決して辞めさせない」という同社専務の言葉を信じたい。

 

うつ急増は、製薬会社のキャンペーンが原因?

 

今回知っておきたいのは、特集記事PART4『うつ急増のカラクリ』だ。なぜ、うつ病の人が増えているのか。そこには製薬会社の病気啓発キャンペーンがあるというのだ。日本国内抗うつ剤の市場規模、うつ病患者数、メンタル休職率は、それぞれ実はある年から増加に転じている。それは1999年、日本で初めてSSRI系の新薬が発売された年だ。

90年代初頭、SSRIは従来と効き目が変わらないのに副作用が少ないことから「奇跡の薬」とされ、米国でも急成長をしていた。大手製薬会社は、日本の市場で「うつは心の風邪」というキャッチコピーとともに「メガマーケティングキャンペーン」を展開。従来考えられていたような社会的に恥ずべき疾患ではないと思わせることに成功したのだ。うつのハードルが低くなり、患者も増えて、薬価も高い新薬は製薬会社にとって大きなビジネスとなった。医療関係者は、「あるときから精神科の廊下にMR(医薬情報担当者)が並ぶようになった。特に外資系のMRにはきれいな女性が多かった」と語っている。

ここで展開された「メガマーケティングキャンペーン」では、誤解を生んだ部分もある。「うつは心の風邪」とされたが「風邪薬は何日か服用するだけだが、SSRIは何年にもわたって処方され続けることになる可能性がある」。また、被験者の自殺企図のリスクを増幅させる副作用を故意に隠していた疑いも明らかになっている。

いずれにせよ、SSRI登場後に世界的に処方数が急増しているのだ。うつ病でない人まで簡単にうつ病と診断されるような時代を迎え、うつが急増した。こうなると、うつの診断書が免罪符になり「負荷の低い業務に甘んじる低空飛行社員が増える」(『人事部長座談会「このままでは会社はうつだらけ」』)との懸念もある。本来、治療すべきうつの人々に、製薬会社のビジネスで生み出されたうつの人々、さらにブラック企業によってうつとなった人々(特集記事『うつにして辞職に追い込む ブラック企業の手口』)……うつの急増には、さまざまな背景がある。そのあたりの論点をわかりやすく整理している今回の東洋経済は、さすが社会派経済誌というべきものだ。
(文=松井克明/CFP) 以上の抜粋元

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